ネット上での評価や、知り合いのオススメもあったので、自分の小さな「箱」から脱出する方法(アービンジャー・インスティチュート:著)を読んでみた。
「俺はがんばっているのに!」という思いは、仕事であれ家庭であれ、いろいろなシーンで思う感情である。「全ての原因は俺にある」という男気溢れる人であっても、時としてそれは自己正当化のセリフなのかもしれない。
「箱」の中にいる自分というのは、本書を読めば誰でも当てはまることであることが分かる。私、自身もスッポリと「箱」の中に入っていたと、読み途中でも気恥ずかしさが沸いてきた。特に人間関係に悩んでいるつもりは無かったが、それは”気付いていないだけ”だったのだ。この気付きは猛烈に恥ずかしい。
「箱」の中に入った経験は間違いなく誰にでもあると断言できる。
ゆえに本書では、何度も何度も問答を繰り返す。理屈が分かったとしても、それが単なるテクニックとして捉えられたならば、何の価値もなくなるからだ。
自分も経験したことある体験だけに想像しやすく、本を読んだ事で実践まですぐできると錯覚してしまう。そういう“うわべだけの理解”を恐れているのであろう。
人は、ちょっとしたことで箱の中に入ってしまう。
実際、この本を読んでいる時に
「あら、そんな本を読まないと人間関係のことがわからないの?」
と笑われた時には、私も完全に「箱」の中に入ってしまった。
“人が真剣に勉強しようとしているのに、何で邪魔をするのだろう!”
人間関係のノウハウは銀座時代の“ねえさん”が教えてくれたという。
「おさわりしようとする客を、嫌いと思えばそれまでで、今は寂しい思いをしている人なのだと思って接すればいい関係を築くことができるのよ。」と。
確かに本を読んだだけで何かが解決する訳ではないが、「箱」の中に入るというのがどういう事なのかが分かっただけでも私には価値のある本であった。(そして「そんな本を読まないと人間関係のことがわからないの?」というのも私にとって有用な問いかけであった。)
私のように銀座の“ねえさん”に人間関係を教わる機会のない方にオススメの一冊である。
「箱」から脱出できるのか、確かめてみようと思う。
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